この記事は以前noteに書いて、2万5千以上のビューをいただいたものです。
こちらに引っ越してきました。
●はじめに
このコンテンツは5年ほど前に自分のブログに掲載していて、結構なアクセス数があったのですが、その後写真展ブーム(?)もあり、誰もが写真展に気軽に参加できるようになってきて、もうこの記事の役割は終えたなと感じ、ブログも閉鎖したこともあってお蔵入りにしていました。
それから年5-8回くらいの写真展に参加し、プロの写真家にも参加していただけるような写真展も主催することができ、今は(2022)はモデル展のサポートもするようになりました。
そこで気付いたのですが、やはり今でも展示初めての人が展示に参加しようとしている。その人達の中には、不安でわからない事だらけでうまく展示できないんじゃないかとか展示経験者に馬鹿にされるんじゃないだろうかとか、とても不安に思っている、という事です。
2020年2月に主催した「いにしへの肖像写真展」
例え展示に失敗しても、大規模展示や個展ではまだ自責で済みますが(笑)、規模が小さくなると各自の責任がだんだんと大きくなる。グループ展では展示の仲間に迷惑をかける、モデル展ではモデルの顔に泥を塗ることになりかねないという不安もあるかと思います。そうならないよう学ぶ事は必要なのですが、何から学べば良いのか?という問題もあります。そこで過去の記事を多少修正してnoteに掲載することにしました。
内容はアップデートしますが、元がなぐり書きに近いのでわかりにくい事この上ないと思います。わからないことがあれば、コメントDM(Twitter)などいただければわかる範囲でお答えしたいと思います。
●まず始めに確認すること
写真展に私も参加したい!と思った時、最初に確認するべき事は2つあるかと思います。1つ目は、その展示の日時と場所。展示するからには、展示した、という事実以上にそこに在廊してコミュニケーションを取ることで写真展が一層楽しいものになると思います。そのスケジュールはあっているのかは確認するのが良いでしょう。2つ目は、その展示はデータを渡せばあとは全部やってくれるシステムなのか、自分で全部やらなければならないシステムなのかです。データを渡すだけの場合、その仕様にあった(例えば画像の比率が4:3、4000ピクセル以上のRGBファイルとか)ファイルを送れば出展完了です。その場合には必ず、写真展の案内に、『データを渡すだけです』と記載してあります。そういった記述がある場合は以下の●写真の選定 あたりまで読めば十分です。そんな記述がない場合、出展者が写真を用意する必要があります。全部ご覧ください。
こんなの当たり前!と感じた方は既に入門編はクリアしているかもしれません。
●テーマ
これが一番大変だと思います。色々なくくりがあると思いますが、入門者にとっての肝は、漠然としたテーマにしないことではないかと思います。
高尚で概念的なテーマは十分な表現力を持っている人には良いかもしれませんが、まずは手軽なテーマが無難です。
展示によっては、既にお題的なテーマがある場合が良くあります。それに乗るのも楽しいと思います。
テーマはしばしば、展示の時に説明書き(メンションなどと呼ぶ)として写真と一緒に貼られます。
●撮影
これには特に触れません。ご自由に。
●写真の選定
写真の選定はテーマに沿うのは当然ですが、複数枚展示する時はその写真のバランスも必要だと思います。
自分が陥った問題児ケースは以下の様なものでした。
- 6枚選定したが、それぞれ色合いがばらばら(統一感が微塵も無い)
- 自分の好きな画角だけで構図や顔の大きさが全部一緒(それはそれで有りだと思いますが、自分の場合単調になると感じました)
- タテとヨコの写真の枚数比がアンバランス
- 視線の誘導や空間の取り方に落ち着きが無い
- 枚数が多すぎで貼れない
- プリント後1枚だけ肌色が違う
- サイズがアンバランス!
また、ポートレートの様な場合で何枚も展示する時には1枚くらい、例えば人や顔の写っていない「箸置き」的なちょっと休憩させるような1枚を挟むとバランスが良くなることがあります。これは中級者以上ですかね。
展示を色々やってみて感じたことは、自分が撮ったベストの写真を並べれば良いというものではないというものです。つまり、写真のチームワークが大切という事ですね。
●プリント方法の決定
プリントは①自分で行うケース(自家プリント)と②外出し(プリントサービスを利用)のケースがあります。
自分でプリントする場合はプリンタを調達しなければなりません。プリンタの決め手は、出力できる紙の最大サイズと、染料系か顔料系のインクなのか、という事です。染料/顔料はどこにでも出ている情報なので詳しく書きませんが、ざっくり言うと染料系は発色が鮮やかだが紙に染み込み乾くまで時間がかかる&光沢紙向け、顔料系は乾くのが早くしっとりとして黒が良く出る&マット紙向け、という感じです。
マット紙が似合いそうな写真の例
さらにA3ノビを出力できるプリンタは非常に大きいです。重さも20kgくらいあります。しかもインクの数が多く、出力しようとするとかなりの高確率でインク交換が必要です。とメッセージが出てくじけそうになります。プリンタを持つ場合その覚悟が必要です。
また、色味は会場の照明の色温度(電球、LED、自然光なのか等)によっても変えなければならない場合があるかもしれません。ちなみにプリントの色の評価には、遮光したうえで演色性の高い光源を使うのが望ましいと思います。自分はよくある色評価用の蛍光灯を使っています。(普通の蛍光灯とはずいぶん違って見えます)
光源の用意が無理ならせめてモニタの色と合っているかのチェックはされると良いと思います。
LEDの色温度【ケルビン(K)】とは より http://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_iroondo.html
もう一つの外出しの場合は、色々なサービスがあります。プリントだけでなく、出力の相談にも乗ってくれたり、パネル作成や額装まで面倒を見てくれる所もあります。
多分一番手軽なのは、カメラのキタムラなどのDPEサービスではないかと思います。データを持って行けば短時間でプリントしてもらえます。紙種類の制限はありますが、クオリティは申し分ありません(プリンタを持っていない時はキタムラ出力のプリントをフォトコンに送って入選していましたから)。
展示の人から良く聞くサービスは、ピクトリコのプリント工房。ここは、ピクトリコの用紙になりますが、プリントやパネル作成、額装まで面倒を見てくれます。大きいプリントでもギャラリーまで送付していただくことも可能です。どんな紙を使えばいいの?という相談にも乗ってくれますし、とても勉強にもなると思います。
あとは富士フィルムのProfessional プレミアムプリントも良く聞きます。とても綺麗な発色です。また自分でプリントをやってみたいという方には、エプソンのプライベートラボなどの出力サービスもあります。ここはデータを持って行って出力するという時間貸しのサービスです。
もっと色々調べたい場合は、プロラボサービスで検索すれば良いかと思います。
プリントする場合のデータは、RGB、240dpi として長辺4000ピクセルくらいあればA3あたりでも大丈夫です。(ざっくり1200万画素くらい)
●自家プリント
プリント慣れしている方でもこだわると大変労力がかかるようですが、慣れていないととても苦労するのがプリントです。
会場でも良く聞かれますが、自分の場合Canon Pixus Pro10sという顔料系10色インクのプリンタを使っています。インク1本が900円以上しますのでかなり覚悟が必要です。ただ細かい説明は割愛しますが、こういう機種では色の再現性は安定しているようで、一度CYM+明度+コントラストを決めてしまうと、iccプロファイルという紙の特性データを使えば大きく失敗する事はありません。パラメータを決める場合でも、パターン印刷といってCYMのパラメータを何段階かに振って一度に印刷する機能をもっていて、それでおおよその決め打ちが出来ます。ただし、このパラメータは使う用紙によって大きく変わる場合もあります(思ったように出ない)。
p.s. 今自分のM1 macでCanon Print Shop Proが動作しないんですよね。なんとかしてください。CANONさま。
条件出しパターンの例
このあたり、やっていくと深くて大変です。特にiccプロファイルがない場合何度もプリントする場合もあります(ちょっと前の展示では10回プリントしました)。
高演色性蛍光灯、iccプロファイル、モニタのキャリブレーション、このあたりの単語は何?という場合は、最初の展示からご自分でプリントされる事はお勧めしません。楽しいことは楽しいのですが。
●用紙
用紙は良くプリントされる人の間では、一つの風流になっているのではないかと思われるくらい深いです。用紙マニアの様な方も展示に訪問される事は良くあります。
光沢の有無、粒子のきめ、風合い、黒の出方、白の色味(青いか黄色いか)など千差万別です。
用紙は自家プリントの場合はある程度自由に決められますが(まれに厚すぎて綺麗に出力できない場合もある)、出力サービスでは制限のある所が多いかと思います。
用紙の光沢についてはあくまで好みや考え方によりますが、展示の場合はライティングによっては映り込みが気になる場合があります。
ライトと見る人の角度によっては照明が目障りだったり、背景の白い壁や自分自身が写真に写り込み見えにくくなったりして興ざめする場合もあります。自分の場合はそういった事を考え、半光沢かマットな用紙を使う事が多いです。ちなみに、欧米の写真展では光沢はほとんど使われないという話をネット上で見たことがあります。
●ギャラリーの展示方法制限の確認
このあたりまで決めたら、ギャラリーでの展示方法の方針を考える必要があります。
額で飾るのか、パネルにするのか、直貼りにするのか、といった方針です。ギャラリーによって、利用できる展示方法が限られています。
ピクチャーレール(ワイヤーで額を吊る)の有無、粘土(ひっつき虫)や画鋲の利用可否、使える釘の太さなど。虫ピンしか使えない所もあります。これはギャラリーに確認するか、経験者に聞いてみる必要があります。
ワイヤーで吊った例(フックを額の裏に隠すと面倒ですがもっと綺麗です)
経験上、両面テープよりも粘土の方が大きな加重でも粘着力に根性があるように思います。粘土は、ブル・タックという商品名のものを購入しています。これは練って貼り付けるとかなり強力なのと、多少の反りが生じても粘土が変形して剥がれにくいのが特徴です。A3のハレパネならブル・タックで行けます(ただしパネルの反りが変化する場合落ちる事もありますが)。木製パネルもA4ならブル・タックで付きますが、A3では経験した事がありません。
ブル・タック
ブルタックの欠点は粘土なのである程度の厚みがありその調整が面倒な事です。固定してみたら厚みにムラがあって、固定が傾くという事が良くあるので注意が必要です。
よく使われる額装はピクチャーレールや釘、ピン(釘より細いもの)、粘度、両面テープ(剥がせるもの)等があります。また自分で用意したパネルに貼ったり棚に置いたりという事もできます。
A3以上のパネルや額は、ピクチャーレールか釘、ピンが安心できると思います。
●写真のレイアウト
写真が選定でき、方針が決まったら、写真の大きさと全体のレイアウトを考えます。
展示写真は大きければ迫力は出ますがそれがベストというわけではありません。なぜ大きいのか必然性を考えます。逆にハガキサイズくらい小さくても素敵な写真や展示はいくらでもあります。単純に大きさで決まらないのが面白い所です。ですが、よくわからない場合はここでは入門なので大きい方が良いと書いておきます。
ただし、展示場所は良く考える必要があります。自分の展示場所で写真から十分に引いて見られるか、他の人が他の写真を十分見られるスペースは空いているのかは、サイズを決めるうえで大きな要因になります。特にギャラリーが狭い場合は大きい写真は向いていません。
写真サイズと閲覧スペース
また、写真が大きければ大きいほどお金はかかるし持ち運びは大変になります。ざっくり言うとA3を超えると面倒くささは指数関数的に増加します。(プリントは業者へ発注しクルマで持ち込めばそう面倒でも無いのかと思いますが)さらに片付けや保存も課題が残ります。
自分は現実的な妥協点としてA3ノビ(A3より少し大きい329×483㎜)あたりまでを良く使っています。
展示で上下にも多段に写真を積む必要がある場合は注意が必要です。上下に積む際に問題となるのは写真の高さです。
この高さは、展示スペースの広さ(見る写真の展示場所でどれだけ後ろまで引けるか)にも関係しますし、もちろん写真単体の大きさにも関係します。
確かPHaT PHOTOによると、写真の展示の高さは中心線を床から1550mmとすれば良いというものでした。これは女性の視線も配慮したものだと思います。しかしこれを縦方向に写真を積むと上の段の写真は大きく上を向かなければならないし、下の段の写真は大きく俯かなければなりません。それを考慮して展示する写真の縦横を決める必要がある場合もあります。
最適な展示高さの例(女性が中心の場合もう少し低い方が良いかもです)
●額装
額装も展示初めての方には普段やらないので難しい話です。額装入門のポイントは、雑な処理が見えない事と立派に見えることだと思います。
自分が今迄検討したのは以下の方法です。
a. 写真(用紙)のみ直貼り:粘土(ダイソーなどで売ってる粘着性のもの、Blu-Tackなど)、両面テープ(貼って剥がせるスリーエムのコマンドタブなど)や虫ピンで壁に固定します。ただし紙が湿度でたわんだりします。L版までくらいのカジュアルな展示だと良いでしょうが、しっかり写真の隅々まで見せたい時には向かないように思います。
ただしA2以上の大きな場合でも額装は物理的に難しくなるので直貼りもアリです。(この場合何か所も留めるので反りは気になりません)
b. バックシート(裏打ちシート)に写真を張って展示:1~2mm位の厚さのバックシート、裏打ちシートというものが販売されています。(富士フィルムなど) これは丁度写真用紙サイズで出来ていて片面に糊が付いていて用紙をそこにはります。厚みがあるので紙そのものよりしっかりとした感じにはなります。値段は5枚セットでA3で2千円強です。この方法は手軽で軽く、しっかりして、フレキシブルなため反りを気にする必要は少ないですが、見栄えの点で立派に見えないのが欠点といえば欠点です。カジュアルな展示には良いのでは無いかと思いますが、最近はほとんど見ません。このバックシートを使って補強して、額装時に使ってたるませないという時にも使います。
裏打ちシート 在庫無くなり次第出荷終了!?(類似の額装裏打ちシートはあります)
c. ブックマット(/オーバーマット):写真を挟む厚紙で出来たフレームです。幅広の縁があり写真が綺麗に見えます。しかも挟むだけなので手軽で失敗がありません。A4くらいまでならとても手軽で良い方法だと思います。ただし額の様な厚みは無いので、立体感を出すには下駄を履かせるなど工夫が必要です。また、A3のブックマットは試した人の話では反るそうです。
ブックマットはオーダーメイドで縁の幅や色を注文できる所もあります。
参考:山の手写真
d. スチレンボード(ハレパネ):片面に糊の付いたスチロール製のパネルです。A4で一枚数百円程度と格安で手軽です。このパネルにプリントした写真を貼ります。パネルは自分でプリントした場合写真用紙とサイズをそろえるためカットが必要です。カットには断面を綺麗に見せるため、精度の良いカッターを使う事をお勧めします。
使っているカッター:日本クリノス プレシジョンカッター プロフェッショナル仕様
ハレパネは、プラチナ万年筆の5mmまたは7mmのハレパネ(正規品)や、反らないと宣伝している製品(ハレパネ・ソラーズや自分が良く使う、ハイパープロタックS)を使う事をお勧めします。
ハイパープロタックSはボード自体が黒なので写真が締まります。
しかしスチレンボードは、写真の紙とスチレンの組み合わせとなるため、一般的には反りの問題が出やすいです。
3mmハレパネの反り。貼って1日でこれくらい反ります。
3mmハレパネの反り
また、ハレパネ風味の類似品の末路。ハレパネ同士を貼っていた糊が一晩で剥がれました。この後、写真も剥がれました。剥がれ落ちるとかなりの確率で角がへこみます。
気持ちも。
また、カジュアルな展示でのお勧めの方法はパネルの後ろに3~4cm四方程度のブロック状のハレパネを下駄として3点に貼る方法です。下駄の面積を小さくする事で、そこで生じる伸縮の量を減らす効果があると思います。特に粘土が使えず壁に釘が打てないギャラリーでは、このブロック状のハレパネを虫ピンで壁に固定し、この下駄と写真パネルを粘土や両面テープで固定します。
パネル裏の下駄(3点止め)
ハレパネの固定
下駄は3点がお勧めで、4点で固定しても良いのですが、パネルが沿ったときに必ず1点は剥がれてきます。反ったときには余計な力が2点にかかってしまうため、3点の時より剥がれやすくなる可能性もあると考えています。(実際4点止めのテストした時に1点はパネルの反りで剥がれていました)
また、大きなハレパネの場合、写真パネル中央に小さなサイズのブロック状のハレパネを1個だけ付けるのも大丈夫なようです。例えばA2のパネルにA5位のサイズのパネルを貼って1点で固定されている方も見たことがありますが、A2パネル自体の反り以上の問題は無かったようでした。
ちなみに、ハレパネの厚いものは内部に紙の層をサンドイッチしてあって反りを減らす工夫をしているようです。
f. 額縁を購入する/レンタルする:額を購入するのはお金はかかりますが挟むだけなので、手間はかかりません。反りを気にする必要も普通ありません。また再利用もできるものも多いです。
値段はピンキリですが安くはありません。額の保管は場所を撮るのでレンタルするのも良いかと思います。
また、額は釘に引っかけるか吊る場合が多いです。吊る場合は、額に大抵付属している紐を使って吊ります。(この高さ調整=紐のたるみ調整がちょっと面倒)
額縁の吊り紐
額でまず考える必要があるのは、表面にアクリルやガラスを入れるかです。写真表面に相当するところにアクリルやガラスが入っていると、キラキラして綺麗ですが、照明の反射があり得ます。また、マットな紙を使っている場合、質感がわかりにくくなります。
額を購入すると必ずこのガラスやアクリルの透明パネルが入ってきますが、不要な場合は裏側にもっていく事が出来ます。
また、付属するマットはそのまま使えますが、オーダーメイドで縁の幅や色を変えられます(世界堂などで注文できます。額も。)
このようなフレームは種類が沢山あります。自分は最近見つけたIKEAのフレームを良く使います。これはA3で1,000円しないくらいの安さで、種類も豊富で手軽です。
IKEAのRIBRAシリーズがお気に入り
g. ショップやギャラリーによる本格的な額装:お金と納期はかかりますが立派なモノができます。一般的にはプリントと額装を一緒に頼む事になるようなので、出力はあなた任せになってしまうと思われます。
またプリントは持ち込みで(依頼も可能)額装してくれる、フレームマンという所は良いと聞いたことがあります。大きな展示でも良く名前を聞きます(特に宣伝するわけではなく、周囲で話していた程度ですが)。余裕があればこういう所に全てお任せでも立派で楽で良いのかもしれません。
自分としては、もっと立派な写真を撮れるようになったら使ってみたいですが、今の実力ではまだ勿体ないと思っています。
Tokyo Portrait Award 2021で用意された額
ピクトリコのプリント工房で月光シルバーにプリントしたものを
フレームマンでアルミ額装し、下駄が付いています
下駄も立派です。アルミ板と下駄はマジックテープで付いている
ので、下駄だけ再利用出来そう!
高いだけある立派な下駄です
(出展料が)
h. アクリル額装:出力した写真の表面一面にアクリルを圧着して一枚のアクリル板として見せるもののようです。
例:FLATLABO さま
見た目が豪華でとても鮮やかでしっかりしています。しかも劣化が非常に少ないです。ただし表面はアクリルなのでキズが付きやすいそうです。また反りはありません。重いのとやはり照明の反射が映り込む(低反射のものもあります)ため配慮が必要です。また、展示が終わった後の処理も面倒。
自分は試したことはありませんが、金額的に額に比べ極端に高い金額でも無い(万単位)ようです。自分もやってみたいなと思いますが、自分の撮る写真には合わなそうです。
i. アルポリック板:同じ展示に参加されていた、なおさん、という方がお勧めしているアルポリック板がハレパネの代わりに良さそうでした。実際拝見しても、業者にオーダーしたのかと思っていました。アルポリック板はアルミパネルと発泡材の組み合わせで、反りがほとんど出ません。糊はついていないので、両面テープで留めるのが良いようです。
このアルポリック板のオーダーカットをしてくれる業者があるので、大き目のネイキッドなパネル作成には向いていると思います。しかもかなり安価で再利用できそうです。
これについては別記事から持ってきました。
—-
ずっと思っていました。
何回か参加させていただいているTokyomodels という展示では、とても立派なアルミ板とシックな深緑色のゲタ(パネルを立体的に見せる木枠)で展示されます。
おそらくとても有名なフレームマンさんで額装される物だと思うのですが、展示後いただくことになるので、これが大量に残るのです。
しかも最近ゲタはマジックテープで固定されているので、再利用出来そう。
濡れ髪展の展示では、一人当たり2m近いスペースを貰ったので、A3ノビ(483x329mm)という少し大きい写真を展示しようと思いました。
このサイズだとマット付き額装はかなり大きくなるので、額装でなくパネルに写真を貼る手法がよく使われます。
一般的にはパネルはハレパネ(スチレンボード)と呼ばれる厚さ5mmくらいの軽量な樹脂のパネルが使われています。
これは軽くて片面に糊が付いているので使いやすいのですが、特にサイズが大きくなるとよく反るので、自分は最近あまり使っていませんでした。
自分が良く使っていたハイパープロタックS(反りにくい)
以前展示でご一緒された方から、アルポリック板が良いと聞きました。これは、ポリエチレン板を薄いアルミでサンドイッチにしたような(詳しくは知らないですが)板で、額装業者でも製品として揃えているようなものです。
これが良いのは、軽くて安くて反らない事。良い事だらけです。ただスチレンボードよりは重いです。
これが入手出来る事を教えていただいたので、今回使ってみました。
自分がアルポリック板を注文したのは、サインシティさんという業者向けの所です。(個人向けにも送料は高いですが頼めます)
このアルポリック板は1.8✖️0.9mの板からのカット代で、A3ノビ6枚をお願いして1万円かからないくらいと額と比べてもお安いです。
この寸法から何枚取れるかで金額が変わってくるようです。
そこで今回、このアルポリック板と余っているゲタを組み合わせて安上がりで再利用可能なパネルを作ってみました。
作り方は簡単で、アルポリック板の片面にマジックテープを貼り付けて、ゲタのマジックテープで貼るだけ。
マジックテープはこんな感じ
ゲタをマジックテープで固定したところ
マジックテープだと、パネルとゲタを別々にまとめられるので、運搬の際に嵩張らずに便利です。
写真をアルポリック板に貼るのには、3Mの貼って剥がせるスプレー糊55を使います。(スプレーはベタつくので風呂場でする事をお勧めします。風呂場は埃も少ないので。)
この糊の良いのは、文字通り貼って剥がせる事。ちょっと貼って、失敗したなと思って一度剥がしても再度貼り直せます。それでも糊は残ってしまうのが気になる場合、同じ3Mの剥がしスプレー20を使うとましになります。
スプレーのり55
展示後に剥がしてみました
ハレパネだと一度失敗すると写真もパネルもダメになって再度プリントとハレパネの注文しなくてはとなる事もありまが、その心配は無いのです。
これだけでも経験ある方ならそのメリットがよく分かると思います。
展示は細い釘でゲタを引っ掛けます。
展示後は写真をパネルから剥がす時も簡単で、もう一度展示出来そうなくらい写真にダメージがありません。
パネルにも紙が残らないので、再利用出来ます。
パネルに残る糊は、そのままだとベタベタしますが、同じ3Mのクリーナー20で綺麗に掃除できます。
クリーナー20
貼る時に気泡が出来る事もありませんでしたし、約一週間展示して剥がれてくる事もありませんでした。
パネルも綺麗にカットされていてエッジが斜めになったり的な素人臭さは皆無です。
ほぼ文句ないのですが、今回使ったゲタは木製のものに紙を巻いてあるのですが、裏面に両面テープがついたマジックテープを貼るとマジックテープが強すぎて紙が破けてしまいます。マジックテープをホチキスで固定する事をお勧めします。
あと、Tokyomodels では最近A4展示のみなので、A3ノビパネルに使えそうな大きなゲタが貰えない事くらいかな笑(A3ノビにはゲタ二つを使ってます)。
まだ一度試してみただけですが、このパネル何度も使えそうです。
p.s. その後何度かこのパネル使ってみましたが、紙(や季節?)によって金属パネルから剥がれる場合があります。
最初の展示は全く剥がれなかったのでおそらく紙によるんだと思いますが、湿度や温度で剥がれてくるのではないかと思います。
安全なのは両面テープですかね。(パネルから両面テープを剥がすのはそう面倒でもありません)これは今後も工夫しようと思います。
—-
●額装のまとめ
ざっくりとまとめると、見た目は、出力する用紙の回りのフチの大きさ/色やフレームの色や形で印象がずいぶん変わります。立派に見えるのは広い縁の付いた額ですが、重かったり縁の部分のスペースが必要なため、展示スペースや展示方法の制限を受けます。額は色々な種類が販売されているので、良く調べてみるのが良いでしょう。
重さは、ギャラリーの壁や展示の方法によります。釘が打てる、ピクチャーレールがあれば色々な選択肢が出て来ますが、両面テープや粘土(後述)、細い虫ピンしか使えないような場合は重い額は避けた方が良いと思います。軽いのはハレバネが一番。
反りは、パネルの大きさにもよります。A4サイズでは5mm以上のハレパネであれば反りは気にならないレベルですがA3になると状況は一変し、ハレパネはほぼ反る(気になる/気にならないの境目)、ブックマットも反るという感じです。アルミフレームの額なら問題無いようです。また反りは展示の期間や湿度、温度の影響も受けるようです。反りでやっかいなのは、反ってしまい固定が剥がれた場合に落下し、角を傷つける場合がある事です。角が潰れた写真の印象はとても悪くなってしまいます。
以下に額装ごとのファクタリングの表をまとめておきます(独断による)
額装と特徴(A4/A3を基準とした場合)
●設営
ピクチャーレールとワイヤも色々コツがあるようです。まず、一段吊りか多段吊りかでワイヤが異なる事。多段吊り用のワイヤーにはフックが複数付いてます。
1本の耐過重(だいたい5kg程度)を超えると2本で吊る。通常は1本の方が見栄えが良い。(2本の場合2本が平行の調整が難しく、ギャラリーのオーナーさんにも美観の面から1本吊りを強くお勧めされました。)
色々な釣り方
また1本で揺らいだりパネルが下を向く場合は、壁にワイヤーをタッカー(ホチキスの大きいの)で固定すると角度が減り、ゆらゆらもしにくくなる。ただし壁に大穴が開くため使用禁止のギャラリーもあります。
タッカーによる固定
また、ワイヤーを壁側でなはく額側にテープで固定するという方法もあります。
展示する写真や額の水平や垂直を取るのには、養生テープ(緑色ビニールで剥がした跡が残らないテープ。カメラ用ではパーマセルテープも可)や糸を垂らすのが最適です。水平は水準器というものがあると便利です。
自分はBOSCHのミニレーザーレベルというレーザーで基準線を照射する道具を使っています。これは壁や三脚に取り付け、水準器で水平/垂直を出しその基準線をレーザーで照射するものです。本格的なものは数万円しますが、このタイプのお手軽品は数千円で入手出来ます。
レーザー水準器(お手軽バージョン)
これより自動で水平出るのが便利です
精度はいまいちですが、お手軽な展示なら十分使えると思います。レーザーのちょっとスマートな感じが好きで使っています。自分はこのレーザー光にパネルの縁を合わせるようにして位置決めをしています。
その他、展示の時に持って行く道具は、白手袋(写真を触るとき)、両面テープ、養生テープ、刷毛(ほこり取り)、ブルタック(ひっつき虫)、ドライバー(額縁の金具を使う時)、釘+金づち(釘抜き付き)→必要であれば シール材(片付けの時釘で出来た穴を埋める接着剤)などでしょうか。
虫ピンを多用する場合には、ピンニング器があると劇的に便利です。しかしながらこのピンニング器は恐ろしいほどすぐ壊れます。
ピンニング器。虫ピンを先端に入れてシリンダーを押す
またギャラリーまで持って行くときにパネルを傷つけないようにするためのキャリングケース等は準備しておくのが良いでしょう。これはA3までなら比較的選択肢がありますが、A3ノビ以上では探すのが結構大変になります。そういう場合大きなスーツケースを使うのも手です。
展示の準備は用意周到な前準備があれば最短で1時間半、できれば2,3時間は見ておくのが良いみたいです。ちなみに片付けは1~1.5時間くらい。(写真以外の会場のデコレーションなどでずいぶん時間は違うと思いますが)
●その他展示であると良い物
名刺:カメラマンの名刺があると便利です。Twitter,Facebook,Instagram,Blogなどのアドレスと2次元バーコードが記載されているとなお便利です。
作成はフライヤーと同じプリントパックなどネット印刷で格安で作成できます。名刺プリント用紙を買ってきて自作も出来ますがどうしても反るため、できばえは今一歩です。併せて不在時に名刺を持っていってもらうための名刺ホルダーもあると良いでしょう。
ポートフォリオ:展示以外の写真を見てもらいたい時にはポートフォリオ(ブック)を作成することをお勧めします。これはアルバムにA4サイズくらいの写真を何枚も入れておくものです。A3 のものもありますが、展示がA4でポートフォリオはA3だとアンバランスなのと持って見るには重いです。ただし、一つの手法として、展示はあくまでポートフォリオを見て貰うための呼び水であってポートフォリオで勝負という戦略もあるようです。
ポートフォリオを入れるケースはビックカメラなどで購入(ポケットがA4で透明度の高いフィルムで出来ている)し、イーゼル(100円ショップで売っています)に立てかけておいたりしています。
御苗場で見て一つこれは面白いなと思ったのは、糊付き台紙の付いたアルバムの表面フィルムを外してその台紙にプリントを貼るというポートフォリオでした。これはプリント用紙の風合いがフィルム無しにわかるのでポートフォリオでも用紙へのこだわりを表現することができます。
ポートフォリオは一般的には20枚から30数枚程度が適当な枚数とネット上で読んだことがあります。これは20枚以上で不足感が無く30数枚より多いと見飽きてくる、興味を失わない枚数との事でした。確かにあまり厚くて重いポートフォリオは持っていて疲れますね。まぁこれは自分の好みで良いのでは無いかと思います。
・その他:片付け
展示は片付けまで終わって初めて展示が終わるもの、と考えてください。自分には展示した写真はもうどうでも良いので適当に捨てておいて、というのは最低の考えです。
必ず片付けには参加するか、できなければ着払いで送ってもらいましょう。
また、展示パネルは家に保管しておくと嵩張るのでモデルさんにプレゼント(見方によっては処分)する事があるのですが、その時の送り方が難しいのです。
最終日の終わりの時間に来ていただいて手渡しが一番楽でお金もかからないのですが、そんなに都合良く行く事はまずありません。
しかし送ろうとすれば、相手の本名と住所が必要になります。これはかなり重い話でこちらとしてもできればそんな情報は聞かずにさらっとやりとりをしたい。
そんなときは、クロネコのスマホで送る、を使うとLINEで住所登録のURLを送る形となるため、お互い住所や本名を知らなくても送る事が出来ます。LINEのアカウントさえも交換していない場合も良くあると思います。自分もそうなのですが、自分は、俳優の佐藤〇をLINEで友達登録してあって、クロネコのLINE IDの入力画面で佐藤〇を選択してメッセージを送信して、そのメッセージのコピー(住所入力URL)をTwitterのDMに張り付けて送っています笑。(アレは自動応答なので。良い子はまねしちゃだめです)←読んでいただける方が増えてきたので削除しておきますm(_ _)m。
2022/3/21 追記↓
●ライトの調整
一つ大事な事を忘れていました。展示の設営が終わったら、最後にライトの調整を行うべきです。
ギャラリーであれば、壁から50cm~1mくらい離れた天井にライトレールが付いていて、そこに展示用のライトが設けられています。このライトレールに付けたライトは自由に移動したり追加できるので、それで綺麗に写真に光が当たるのを調整します。ライト自体は大抵光量調整はできないので、光量が強すぎる場合や額装の影を綺麗に見せたい場合などは、斜めから当てたりします。できるだけ遠くから当てる方が柔らかくて広いですが、それは演出次第かと思います(下図)。
これは写真のイメージによって光を当てたり敢えてあまり当てなかったり、当てる方向を考えたり(例えば写真の太陽の方向から当てるなど)、色々考えると良いかなと思います。
写真へのライティングの例
●最後に
色々断片的な情報を書きましたが、これから展示やってみようとお考えの方に少しでもお役に立てればと思います。
殴り書きですみません。