この記事は以前noteに書いて、2万5千以上のビューをいただいたものです。こちらに引っ越してきました。
5年ほど前に自分のブログに掲載していて、結構なアクセス数があったのですが、その後写真展ブームもあり、誰もが写真展に気軽に参加できるようになってきて、もうこの記事の役割は終えたなと感じ、ブログも閉鎖したこともあってお蔵入りにしていました。それから年5〜8回くらいの写真展に参加し、プロの写真家にも参加していただけるような写真展も主催することができ、今は(2022)モデル展のサポートもするようになりました。
やはり今でも展示初めての人が展示に参加しようとしている。そういう人たちの中には「うまく展示できないんじゃないか」「展示経験者に馬鹿にされるんじゃないか」と、とても不安に思っている、ということです。グループ展では展示の仲間に迷惑をかける、モデル展ではモデルの顔に泥を塗ることになりかねないという不安もあるかと思います。そうならないよう学ぶ事は必要なのですが、何から学べばよいのか?そこで過去の記事を多少修正してこちらに掲載することにしました。わからないことがあればコメントやDM(Twitter)などいただければわかる範囲でお答えしたいと思います。
01まず始めに確認すること
写真展に参加したい!と思った時、最初に確認するべき事は2つあります。
① 展示の日時と場所
展示するからには、そこに在廊してコミュニケーションを取ることで写真展が一層楽しいものになります。そのスケジュールが自分に合っているかは確認するのが良いでしょう。
② データを渡すだけのシステムか、自分で全部用意するシステムか
データを渡すだけの場合、その仕様に合ったファイル(例えば画像の比率が4:3、4000ピクセル以上のRGBファイルなど)を送れば出展完了です。その場合には必ず写真展の案内に「データを渡すだけです」と記載してあります。そういった記述がある場合は以下の「写真の選定」あたりまで読めば十分です。そんな記述がない場合、出展者が写真を用意する必要があります。全部ご覧ください。
「こんなの当たり前!」と感じた方は既に入門編はクリアしているかもしれません。
02テーマ
これが一番大変だと思います。色々なくくりがあると思いますが、入門者にとっての肝は、漠然としたテーマにしないことではないかと思います。
高尚で概念的なテーマは十分な表現力を持っている人には良いかもしれませんが、まずは手軽なテーマが無難です。展示によっては、既にお題的なテーマがある場合がよくあります。それに乗るのも楽しいと思います。
テーマはしばしば、展示の時に説明書き(メンションなどと呼ぶ)として写真と一緒に貼られます。
03写真の選定
写真の選定はテーマに沿うのは当然ですが、複数枚展示する時はその写真のバランスも必要だと思います。自分が陥った問題児ケースは以下のようなものでした。
- 6枚選定したが、それぞれ色合いがばらばら(統一感が微塵もない)
- 自分の好きな画角だけで構図や顔の大きさが全部一緒(単調になると感じました)
- タテとヨコの写真の枚数比がアンバランス
- 視線の誘導や空間の取り方に落ち着きがない
- 枚数が多すぎて貼れない
- プリント後1枚だけ肌色が違う
- サイズがアンバランス!
ポートレートのような場合で何枚も展示する時には1枚くらい、例えば人や顔の写っていない「箸置き」的なちょっと休憩させるような1枚を挟むとバランスが良くなることがあります。これは中級者以上ですかね。
展示を色々やってみて感じたことは、自分が撮ったベストの写真を並べれば良いというものではないということです。つまり、写真のチームワークが大切という事ですね。
04プリント方法の決定
プリントは①自分で行うケース(自家プリント)と②外出し(プリントサービスを利用)のケースがあります。
染料系 vs 顔料系インク
自分でプリントする場合はプリンタを調達しなければなりません。プリンタの決め手は、出力できる紙の最大サイズと、染料系か顔料系のインクなのかという事です。ざっくり言うと:
- 染料系:発色が鮮やかだが紙に染み込み乾くまで時間がかかる。光沢紙向け
- 顔料系:乾くのが早くしっとりとして黒が良く出る。マット紙向け
さらにA3ノビを出力できるプリンタは非常に大きく、重さも20kgくらいあります。しかもインクの数が多く、出力しようとするとかなりの高確率でインク交換が必要です、とメッセージが出てくじけそうになります。プリンタを持つ場合その覚悟が必要です。
また、色味は会場の照明の色温度(電球、LED、自然光なのか等)によっても変えなければならない場合があるかもしれません。プリントの色の評価には、遮光したうえで演色性の高い光源を使うのが望ましいと思います。自分はよくある色評価用の蛍光灯を使っています(普通の蛍光灯とはずいぶん違って見えます)。光源の用意が無理ならせめてモニタの色と合っているかのチェックはされると良いと思います。
外出しサービスの選択肢
- カメラのキタムラ(DPEサービス):多分一番手軽。データを持って行けば短時間でプリントしてもらえます。紙種類の制限はありますが、クオリティは申し分ありません(プリンタを持っていない時はキタムラ出力のプリントをフォトコンに送って入選していましたから)。
- ピクトリコのプリント工房:展示の人から良く聞くサービスです。ピクトリコの用紙になりますが、プリントやパネル作成・額装まで面倒を見てくれます。大きいプリントでもギャラリーまで送付していただくことも可能です。どんな紙を使えばいいの?という相談にも乗ってくれますし、とても勉強にもなります。
- 富士フィルム Professional プレミアムプリント:とても綺麗な発色です。良く聞きます。
- エプソンのプライベートラボ:自分でプリントをやってみたいという方向け。データを持って行って出力するという時間貸しのサービスです。もっと色々調べたい場合は「プロラボサービス」で検索すれば良いかと思います。
プリントする場合のデータは、RGB・240dpiとして長辺4000ピクセルくらいあればA3あたりでも大丈夫です(ざっくり1200万画素くらい)。
05自家プリント
プリント慣れしている方でもこだわると大変労力がかかるようですが、慣れていないととても苦労するのがプリントです。
会場でも良く聞かれますが、自分の場合Canon Pixus Pro10sという顔料系10色インクのプリンタを使っています。インク1本が900円以上しますのでかなり覚悟が必要です。こういう機種では色の再現性は安定しているようで、一度CYM+明度+コントラストを決めてしまうと、iccプロファイルという紙の特性データを使えば大きく失敗する事はありません。パラメータを決める場合でも、パターン印刷といってCYMのパラメータを何段階かに振って一度に印刷する機能をもっていて、それでおおよその決め打ちが出来ます。ただし、このパラメータは使う用紙によって大きく変わる場合もあります(思ったように出ない)。
今自分のM1 macでCanon Print Shop Proが動作しないんですよね。なんとかしてください。CANONさま。
このあたり、やっていくと深くて大変です。特にiccプロファイルがない場合何度もプリントする場合もあります(ちょっと前の展示では10回プリントしました)。
高演色性蛍光灯・iccプロファイル・モニタのキャリブレーション、このあたりの単語は何?という場合は、最初の展示からご自分でプリントされる事はお勧めしません。楽しいことは楽しいのですが。
06用紙
用紙は良くプリントされる人の間では、一つの風流になっているのではないかと思われるくらい深いです。用紙マニアのような方も展示に訪問されることはよくあります。光沢の有無、粒子のきめ、風合い、黒の出方、白の色味(青いか黄色いか)など千差万別です。
用紙は自家プリントの場合はある程度自由に決められますが(まれに厚すぎて綺麗に出力できない場合もある)、出力サービスでは制限のある所が多いかと思います。
光沢 vs マット
用紙の光沢についてはあくまで好みや考え方によりますが、展示の場合はライティングによっては映り込みが気になる場合があります。ライトと見る人の角度によっては照明が目障りだったり、背景の白い壁や自分自身が写真に写り込み見えにくくなったりして興ざめする場合もあります。自分の場合はそういった事を考え、半光沢かマットな用紙を使う事が多いです。
ちなみに、欧米の写真展では光沢はほとんど使われないという話をネット上で見たことがあります。
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